個人サイトを作った話


今更な話題ではあるのだが、個人サイトを作った。

元々SNSのフォロワーが何人か個人サイトを持っていて、それを見ていいなとは思っていたのだ。しかしそうは言っても、色々と調べたり作ったりするのがどうにも面倒で、かれこれ数年「やりたいなぁ」とぼんやりと考えながら実際には手を出してこなかったのが、私にとっての個人サイト作りであった。

重い腰を上げて、実際個人サイトを作ってみてどうかというと、はっきり言ってめちゃくちゃ満足している。
ブログサービスで作っていた個人ブログに不満があったりしたわけではないのだが、個人サイトを作ってみて初めてインターネットで「所有する喜び」みたいなものを感じたように思う。理屈の上では何をするも自由だし、どんなウェブサイトにしてもいいというのは、思った以上に解放感に満ちあふれていた。
(そうして舞い上がった結果、巨大なフォントでくだらないことを話す記事を量産してしまった)

今の私はあまりにも満足しているので、インターネットのみんなも個人サイトを作るべきだ、ぐらいの気持ちでいるのだが、正直言って個人サイトを作るまでの道のりは、まぁまぁ茨の道であった。むしろ、苦労したから愛着が湧いているというのも否定できない。
「顧客が欲しいのはドリルではなく穴である」とはよく言ったもので、単純に文を発表したりするWebサービスが欲しいだけなら個人サイトを立ち上げるメリットは全く労力に見合っておらず、はてなブログでもNoteでも利用したほうが絶対にいいとは思う。巷にも、そのようなアドバイスが溢れている。

ところで、個人サイトを作ってみようと思ったのは、VPS(仮想プライベートサーバー)というのを借りたのがひとつのきっかけであった。misskeyで自分一人用の個人サーバーを運営しているフォロワーの方が数名いて、そしてこれまた同じようにいいなと思ったからだ。正確に言えば、これきっかけでVPSを借りれば、そのまま個人サイトも公開できるな、という算段もいくらかはじめからあった。
ともかく、このVPSというのを借りて、Misskeyサーバを立てる……ということに私は挑戦したのだが……これがまあ、大変だった。当初はこういうサーバをどうにかこうにかする、という話題を個人サイトのコンテンツにしようかと考えていたのだが、大変すぎて紆余曲折しまくった結果、整えて発表するのは無理だという結論に達した。
どんなに初歩的な内容だろうと、技術的な話を記事にまとめて公開している方というのは本当に凄いんだな、と身にしみて実感した。

実のところ私は一応パソカタ(パソコンをカタカタする屋さん)の労働に従事しているので、本当に何一つわからない状態よりはマシなスタートだったとは思っているのだが、とはいえ私のパソカタ労働というのは基本的に機械様の言いなりになって、機械様に何かしらのファームウェアなんかを流して、あとは機械様が機嫌よく寝て起きてくれるかをひたすら祈る、みたいなタイプのパソカタなのだ。
手を合わせ、目を閉じ、コントロールできないものが自分たちに安寧をもたらしてくれることをお祈りする。これはやってることは、大体儀式を執り行う神事とかに近いのだと思う。ので、自分で神もとい機械様をコントロールすることについては、はっきり言って全然知識がなかった。まぁ一応私たち神官には神官なりのノウハウがあったりするのだが、所詮人の世の理の中で生きるものであり、機械様があれこれやっている魔術の領域には及ばないわけである(と、私は思って畏れている)


なにはともあれ大変だった経緯をざっくり省略しつつ、まずは無事にこの個人サーバ「繁殖池」が立ち上がった。URLが「pool2」になっているのは「pool」は何かが上手く行かなくて1日で閉鎖することになったからだ。シミック団の実験に失敗はつきものである。
このMisakeyはDockerなるコンテナ型プラットフォームを使ったのだが、立ち上げるのが簡単というメリットを早速享受できたような気がする。言うまでもないが、Dockerなるものを理解というか、機能させるだけでもありえないぐらい苦労した。


そして続いて、経緯をざっくり省略しつつ、なにはともあれ完成した個人サイトがこれだ。Hugoという静的サイトジェネレーターを使って作成し、Github+Cloudflare Pagesで公開したため、結局VPSは個人サイト公開のために使わなかった。

ちなみに、HugoなるものもGithubなるものもCloudflareなるものも、扱うにあたって言うまでもなく大変苦労した。

しかし終わってみれば個人サイト絡みで自分でサーバを管理しなくていいというのは、無知な私のような人間ほどありがたいことであると思った。
Githubを更新すれば勝手にCloudflare Pagesが走って、新たな公開用の環境をビルドし、ウェブサイトには更新内容が反映される。これはすべて無料プランで完結するので、個人サイトを公開するだけならばドメイン料だけ払えば残りは一銭も払わずに達成できる。よくわからないが、凄い時代だと思った。


この次にディスクレビューサイトを立ち上げた。まだあまりコンテンツが揃っていないが、一旦萌え萌えアニメとインディーロックのCDが並んでるサイトを作りたいなぁという気持ちは達成できたので満足している。
個人サイト同様にHugo+Github+Cloudflare Pagesを使ったが、別のHugoテーマを使うにあたって例の如く大変に苦労した。お陰で多少はCSSのことが理解できたような気もする。

結局のところ、個人サイトを立ち上げてやろうとしていることが「デカ文字だったりデカ文字じゃないテキストサイト」と「ディスクレビュー」なわけだけど、これらって振り返ってみると自分がインターネットに親しみ始めた時に見ていたサイトが、丁度こういうジャンルだったかもなぁなんて思ったりする。
昔のインターネットがなんでもかんでも良かったなんてことは思わないけれど、現代的な衆目を集める刺激的で瞬発力のあるSNS時代の空気感だけでなくて、ちょっと立ち返って、素朴なところにあるインターネットの良さを再発見することも悪くないんじゃないかとか、そういう気持ちもどこかにあるのかもしれない。

多分、一番最初に私がフォロワーの方々の個人サイトを見ていいなと思ったのも、そこにかつて見ていたインターネットのかすかな香りを感じたからなのだろう。

そんな感じで、のんびり更新していこうと思うので。
気が向いたら見てもらえると嬉しいです。

This is a moe

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